- 「空き家になった実家、どうすればいいの?」
- 「古い家って、場所によっては驚くほど解体費用が高いって本当?」
- 「補助金って誰でも申請できると思ってたけど、条件やタイミングで使えないこともあるの?」
そんな疑問や不安を抱える方に向けて、この記事では「補助金が使えなかった」という現実も含めて、空き家解体の実体験をお伝えします。
実際に私も、山の上にある実家を解体しようとしたところ、補助金の申請条件や期間に間に合わず、結果的に400万円もの費用をすべて自費で負担することになりました。
この記事ではその経験をもとに
- 解体費用が高くなる家の特徴とは?
- 補助金の申請に潜む落とし穴とは?
- それでも早く動くことで得られた安心感とは?
といったポイントを、前半で実話として、後半では制度とFP的視点を交えてご紹介します。
補助金が「使えなかった」事例も、今後の判断に役立つはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
もう誰も住まない実家。でも放置するには、あまりにも重すぎた
施設に入った両親から引き継いだのは、誰にも必要とされなくなった“山の上の家”でした。
子どもの頃、親が100万円で買った家は、急傾斜の坂道を40メートルも登った先。車は入らないし、買い物も引っ越しも、ぜんぶ人力。駐車場なんて当然ないから、徒歩5分の月極を借りてました。
しかも建物だけの所有で、土地代が毎月1万円。誰も住まないのに、ずっとお金がかかるんです。
10年の間に、周囲の家も次々と空き家に。気づけば、我が家以外の8軒はすべて空き家か取り壊し済みでした。人の気配が完全に消えちゃった。
家の前は草が膝丈まで伸びてて、小動物の痕跡もチラホラ。壁は雨風で老朽化して崩れはじめて、誰も近づかない空間に。
それでも放っておくわけにいかない。姉が「もう解体するしかないよね」と決断しました。
でもそこからが本番。
業者からは「重機入らないので、人力ですね」って言われて、作業員の追加や日数増でコストは跳ね上がり。しかも調査の結果、アスベストが見つかって除去費用がさらに上乗せ。
見積もりは、約400万円。
補助金も調べました。でも申請は年1回で、定数もあり。条件にも当てはまらなくて、結局使えず。
「制度はあるけど、結局届かない」
「誰も住まないから壊すしかない。でもお金がない」
ただただ、払うしかありませんでした。
資産価値なんてゼロ。
思い出だけが残る家が、金銭的にも精神的にも、私たち家族に大きな負担になっていったんです。
不幸中の幸い――負の遺産を引き継がずに済んだということ
正直、解体費用は痛かったです。
でも、建物しか所有していなかったうちにとっては、これ以上ないくらい現実的な選択でした。
なぜなら、仮に建物をそのまま放置していたら、土地は永遠に手放せず、売れないまま毎年の固定資産税だけが積み重なっていく。
それでも「まだ建物付き」なら税負担は抑えられていたけど、解体して更地にした途端――税金は跳ね上がります。
(今は“長期空き家”扱いで、同様の扱いになっている地域もあるかも)
つまり、放置しても地獄。壊しても痛手。
でもそれでも、「もうこれ以上、誰も抱えなくていい」と思えるだけで、少し救われました。
しかも場所は山の上。
ヤブ蚊もすごくて、草むしりするだけで毎回刺されまくるし、
月極駐車場から歩いて、道具を持って登るだけでヘトヘト。
正直、管理するのもひと苦労だったんです。
だから今は「負担から解放された」っていうのも、実際大きいと思います。
結構な金額を払ってしまったけど、
誰かに迷惑をかけずに、家族で責任を持って“幕引き”ができた。
これだけでも、不幸中の幸いだったって思っています。
🧩 IFストーリー:もし空き家の相続を放棄したとしても…
両親が施設に入った後、山の上の実家は人が住まなくなった。
建物は老朽化し、雨漏りとシロアリ被害も進行。姉と協議して、相続は「放棄」という選択をした。
家庭裁判所で正式に手続きを済ませ、「もうこの家に関わることはない」と思っていた。
しかし――
半年後、地主からの郵便が届く。
「この建物が倒壊しそうで困っている。土地の利用に支障があるから、解体してほしい」との要望。
「すみません、相続放棄してるので、対応はできません」と返したが、地主は納得しない。
後日、地主が家庭裁判所に「相続財産管理人の選任」を申立てるが、予納金が高額(約100万円)で断念。
そして、土地の損害額を算定しはじめ――やがて内容証明郵便が届いた。
「建物を放置したことで土地利用に損害が発生。
あなたが事実上の所有者として損害賠償を求めます。」
「えっ?放棄したはずなのに…」と青ざめた。
弁護士に相談すると、「放棄はしていても、処分されないことで損害が出ているため、“事実上の管理責任者”として訴えられるリスクはある」とのこと。
その後、話し合いも決裂し――訴状が届いた。
🧭 IFだからこそ語れる、制度の“隙間”
- 法的には放棄で終わり。でも、解体費が高額で誰も処分できないと、現場は詰まる
- 地主も困って、損害賠償という民法的なアプローチに踏み切ることがある
- 放棄者が処分せず放置していたことが「事実上の損害源」とされれば、裁判リスクはゼロではない
こういう可能性も0ではないことを覚えておきましょう
空き家の補助金って、使えると思ったら使えなかった件
「空き家 解体 補助金」って検索すると、
確かに出てくるんです。いろんな制度が。
でも、実際使えるかって言うと――
めちゃくちゃハードル高いんです。
例えば、ある自治体の制度では、
- 申請は年1回だけ
- 予算の上限があって、先着順
- 対象になる空き家の条件もけっこう厳しい(倒壊の危険があること、など)
しかも、家の状況を事前に調査して、書類作って、期限内に出さないといけない。
これ、空き家を抱えてバタバタしてる家族には、正直ムリゲーです。
うちの場合も、時期がズレてたし、アスベスト除去も対象外だったし、全部アウト。
**「制度あるじゃん!」と思っても、実際には届かない人の方が多いんじゃないか?**って思ってます。
「壊す」以外に選べる道はある?ちょっとだけ冷静に考えてみる
空き家って、「放置=問題」「解体=正解」って思いがちだけど、実は選択肢はもう少しあります。
たとえば、以下のような方法が。
選択肢 | 内容 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
売却 | 空き家を売る | 管理・負担から解放される | 売れる地域じゃないと難しい |
譲渡 | 地域団体や親族に無償で譲る | 思い出を誰かが引き継げる | 相手の了承と手続きが必要 |
活用 | リノベーション、貸し出しなど | 資産として活かせる可能性 | 投資コストと地域条件に左右される |
解体 | 建物だけ撤去する | 更地にして管理しやすく | 費用がかかり、補助制度は限定的 |
うちの場合は「売れそうにない場所」「使う予定もない」「そもそも危険」だったので、結局“解体しかない”って結論になりました。
でも、今あなたの空き家が「まだ使える」可能性があるなら、ちょっとだけ立ち止まって選択肢を比較する価値はあります。
解体や補助金の前に確認したい5つのチェックポイント
空き家をどうするかを考える前に、こんな点をチェックしてみてください。
1️⃣ 家の所在地は“補助金対象地域”になってるか
2️⃣ 解体に必要な費用(+アスベストなどの追加要因)を試算できてるか
3️⃣ 補助金の申請時期と条件を事前にチェックしたか
4️⃣ 売却・譲渡の可能性を一度は調べてみたか
5️⃣ 家族の中で「何を優先するか」が話し合えてるか
このあたりを先に整理しておくと、「あとから知って後悔…」ってことが減ります。
「もう家はどうにかしないと」父の一言から、家族の話し合いが始まった
うちの実家は、山の上の坂道にある家。車も入れない、将来的な維持も難しい場所でした。
でも、父が施設に入る前、「もうこの家はどうにかしないと」と自分から言ってくれたんです。
親が元気なうちに、“家の今後”をどうするかを本人の意思で話し合えた。
それが、その後のスムーズな決断に繋がったと思っています。
でも、すべての家がそうとは限らない
「壊したくない」と拒む親に、どう話す?
もし、親が「絶対壊すな」「住まなくても残しておけ」と言い張っていたら――
子には勝手に壊す権利はありません。名義が親ならなおさら、同意と法的手続きが必要です。
そのまま放置されれば管理負担や固定費は子が背負い続けることに。
場合によっては、親族間のトラブルや法的争いに発展することもあります。
だからこそ、“言い方”が大事になる。
心理学では、家への執着は「自己概念(セルフイメージ)」と関係すると言われています。
家は親にとって、人生の象徴であり、誇りや思い出の塊です。
そんな親に「壊したい」「要らない」と伝えてしまえば、それは“否定”にもなりかねません。
だからこそ、傷つけない言い方の工夫が必要です。
傷つけずに伝える3つのステップ
「受け継ぐつもりはない」と、やさしく伝えるために
💬 ステップ①:まずは感謝を伝える
「この家のおかげで、家族で安心して過ごせた。本当にありがとう」
親の努力や思いを、まずは受け止める。
それが、心の準備を作る第一歩になります。
💬 ステップ②:選ばない理由を“自分の人生”として説明する
「私たちの生活が都市部にあるから、ここに住む現実味がなくて…」
「子育てや仕事を考えると、別の場所で生活する方が合ってるかもしれない」
親を否定しているのではなく、“自分の人生設計”を伝えるだけで、
受け止められ方が大きく変わってきます。
💬 ステップ③:“敵”ではなく、“味方”として話す
「この家の今後を、お父さんと一緒に考えたい」
「壊すだけじゃなくて、貸すとか別の選択肢もあるかもしれないね」
説得ではなく、一緒に悩む姿勢こそが信頼を生みます。
親が元気なうちに「家の話」をするという選択
親が弱る前、施設に入る前、決断ができるうちに
「この家、どうする?」と話せたことは、本当に大きかった。
でもそれは、親が「終わらせること」を選んでくれたからこそできたこと。
もしその意思がなかったら、空き家の問題はずっと宙に浮いていたと思います。
最後に:言葉の設計だけで、家族の未来は変えられる
家の話は“ライフプラン”の話でもあると、私は思っています。
空き家の処分や相続の選択は、親の人生だけでなく、子の人生設計にも深く関わるもの。
「この家をどうするか」は、「これから自分たちはどこで、どう暮らしていくか」に直結します。
だからこそ、感情に寄り添いながら、未来を見据えた言い方を選ぶことで
家族が前に進めるきっかけを作れるのではないでしょうか。
ライフプランの整理は、今すぐできることから
家のこと、親のこと、自分たちの将来のこと――
すべてを一度に考えるのは難しくても、「今できること」から始めることはできます。
たとえば、年金や貯蓄、老後資金の不安があるなら、
無料で相談できるサービスを活用するのもひとつの手です。
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「家の話」とあわせて、「お金の話」も整理してみませんか?